5052 アルミとは
5052 は Al-Mg 系合金(Mg 約 2.5%)で、熱処理ではなく加工硬化で強度を得ます。板は通常 H32 調質 — 加工硬化後に低温焼なましで安定化 — で供給され、この調質が「ほどある強度と寛容な曲げ挙動」の組み合わせを作ります。
熱処理系でないため、溶接後の特性保持は 6xxx 系より大幅に優れます。溶接した 6061 接合部は熱影響部で強度の大半を失いますが、5052 の接合部は失いません。TIG/MIG 溶接される筐体本体やハウジングでは、これが決め手になることがよくあります。
工学参考としての代表値
以下は板金選定に用いる H32 調質の代表値です。実際の特性はサプライヤー、規格、板厚、適用規範で変わるため、プロジェクト上重要な要求は材質証明書で確認してください。
| 特性 | 代表値(H32 調質) |
|---|---|
| 密度 | 2.68 g/cm³ — 鉄の約 1/3 |
| 引張強さ | 約 230 MPa |
| 耐力 | 約 195 MPa |
| 伸び | 約 12% |
| 耐食性 | 優秀 — Mg により大気・海洋環境で良好 |
| 溶接性 | 優秀(TIG/MIG)、熱影響部でも強度を大きく保持 |
| 曲げ挙動 | 一般板金グレード中で最良 — 薄板なら厳しい内 R や零半径ヘムも可能 |
加工工程での 5052 の挙動
ファイバーレーザーでは通常の板金ウィンドウできれいに切断できます(当社レーザーラインはアルミ約 5 mm まで)。筐体で一般的な 1.0–3.0 mm の板厚ではバリも少なく切れ味は良好です。プレスブレーキでは、設計者が思い切れる合金です。6061-T6 なら割れる内 R、ヘム、折り返しフランジも 5052 では日常作業です。
それでも曲げ半径は圧延方向の法則に従います。圧延と直交する曲げは平行な曲げより小さい R が許容でき、厚めの板の 90° 曲げは内 R をほぼ板厚 1 倍に保つべきです。違いは、設計がどうしても厳しい曲げを要求するとき — 零半径ヘム、近接折り返しフランジ — 5052 は「はい」と答えられるグレードだということです。合金別の最小曲げ半径データは DFM ガイドにあります。
- レーザー切断:切れ味良好、筐体一般板厚は 1.0–3.0 mm
- CNC 曲げ:一般グレード中で最も厳しい R とヘムが可能
- TIG/MIG 溶接:強度保持が大きく、長い継手の歪み管理は軽微
- 深絞り・成形:筐体やカバーに十分な絞り比
5052 に合う表面処理
5052 はアルマイト処理の標準下地です。Mg を含む合金は均一で硬い酸化皮膜になり、染色もよく受けます。だからアルマイトのアルミ前面パネルやヒートシンク面はたいてい 5052 です。塗装にする場合は、標準前処理の後なら粉体塗装の密着がよく、筐体本体の取り扱い傷を隠せます。
素地調では、透明アルマイト前のビーズブラストが、コンシューマー電子機器筐体に一般的な均一なマット仕上げを与えます。どの組み合わせを日常的に行っているかは、表面処理ハブの適合表を参照してください。
- アルマイト処理(タイプ II):パネル・外観面の標準的な組み合わせ
- 粉体塗装:筐体本体・屋外部品への耐久色
- ビーズブラスト:マット化粧仕上げ、多くはアルマイト前工程
5052 対 6061:重要な判断
最もよく受ける質問は、なぜ見積時に 6061 から 5052 へ(またはその逆)案内を変えたのかです。短く言えば:曲げがあるなら 5052 から。ほぼ平面で機加工フィーチャーが中心、あるいは構造用途なら 6061 が活きます。判断表の全体は比較ページにあります。
| 判断 | 5052-H32 を選ぶ | 6061-T6 を選ぶ |
|---|---|---|
| 部品に曲げがある | はい — 成形性が最大の強み | 注意 — R を大きく。厳しい曲げは割れリスク |
| 溶接組立 | 熱影響部でも強度保持 | 溶接後、局所的に強度低下 |
| 単位質量あたりの剛性 | 良好 | より良い — 耐力が高い |
| 成形後の機加工フィーチャー | 可 | 切削性はこちらが上 |
| 典型的な用途 | 筐体、ブラケット、パネル、ハウジング | 構造ブラケット、フレーム、切削+成形部品 |
調達と図面での指定方法
WERIX は図面が指定する合金・調質・板厚に従い、製造サプライチェーン経由で 5052 板を調達します。特定板厚の入手可否は見積時に確認します。図面では合金と調質を必ずセットで — 「Al 5052-H32」— 板厚と仕上げも併記し、工程が本来持つ精度のフィーチャーに厳しい公差を載せないでください。
部品が 5052/6061 のどちら側に属するか不明な場合は、「材質未定」の注記とともにモデルをお送りください。エンジニアが曲げ・溶接・荷重を確認し、一方を推奨して見積ります。
