板金の曲げ半径:工程と材料が決める最小値
曲げ半径は、部品がきれいに成形できるか、最初のストロークで割れるかを決める設計寸法です。恣意的な指示ではなく、材料と調質、圧延方向、板厚の関数です。だからこそ、冷間圧延鋼板で成立する同じ半径が、硬質のアルミニウム調質では破綻します。

最小曲げ半径は、外側表面における材料の伸びによって決まります。外側の繊維が割れずに伸びなければならないからです。実務上の目安として、軟鋼では内側半径は板厚以上としますが、軟質アルミニウムはそれより小さくでき、6061-T6 はかなり大きな半径が必要です。
01実際に半径を制限しているもの
板材を曲げると、曲げの外側は伸び、内側は圧縮されます。破壊は外側から、引張による割れとして始まります。ひずみが材料の許容量を超えたときです。ひずみは半径と板厚の比で決まるため、同じ半径でも、材料が厚くなるほど厳しくなります。
これが、軟鋼では最小内側半径は板厚に等しいという、よく知られた目安の由来です。有用な既定値ですが、万能の規則としては不十分です。伸びの値、調質、そして圧延方向に対する曲げの向きについて、何も語っていないからです。
02材料別の実務的な最小値
| 材料 | 一般的な最小内側半径 | 注記 |
|---|---|---|
| 軟鋼/冷間圧延(SPCC) | 1 × t | 通常の既定値。焼なまし材はこれより小さくできる |
| 亜鉛めっき鋼板(SGCC、SECC) | 1 × t | きつい曲げの外側では亜鉛が割れたり剥離したりすることがある |
| ステンレス 304 | 1 × t ~ 1.5 × t | 伸びは高いが加工硬化が強い。2 回目の曲げではより大きな半径が必要なことがある |
| ステンレス 316 | 1 × t ~ 1.5 × t | 304 と同様だが、スプリングバックがわずかに大きい |
| アルミニウム 5052-H32 | 1 × t | アルミニウムとしては成形性がよい。曲げパネルの実用的な選択肢 |
| アルミニウム 6061-T6 | 2 × t ~ 4 × t | 硬質調質。2 × t 未満では割れが多く、特に圧延方向を横切る場合に起こる |
| 銅/黄銅 | 0.5 × t ~ 1 × t | 軟らかく成形性が高い。制約は通常、割れではなく工具にある |
板厚の倍数で表す一般的な最小内側曲げ半径(エアベンディング、室温)
03内側半径、外側半径、そして図面に書くべきこと
曲げ半径は、どちらを指すか明示しなければ曖昧です。内側半径はパンチまたはダイの開きによって決まり、工具が決める寸法です。外側半径は内側半径に板厚を加えたものです。中立軸は両者の間に位置するため、展開図の長さは、モデルをどちらから作ったかによって変わります。
指定するのは内側半径とし、全体に共通の注記ではなく、フィーチャーごとに指定します。「最小曲げ半径 1 × t」と書きながら、最もきつい曲げが 0.4 × t である形状を併記した図面は、DFM レビューで指摘されます。それよりも、望む形状を指定し、工具で製作できるかを工場に確認してもらうほうが早く進みます。
04割れが実際に始まる箇所
- 圧延方向に沿うのではなく、横切って曲げている。材料は圧延方向を横切るほうが延性が低い。バリのあるせん断エッジやレーザー切断エッジを曲げ線が通っている。バリが応力集中部として働くため。半径が材料の最小値を下回っている。特に硬質調質のアルミニウムで起こる。
- 穴に近すぎる位置に曲げがあり、穴が変形し、その周囲の材料が破断する。推奨のダイの開きより狭い工具で曲げており、実効的なひずみが厳しくなる。1 回目の曲げにすぐ隣接して 2 回目の曲げがあり、加工硬化した領域が再び曲げられる。
05同じ問いの工具側の事情
材料がより小さな半径を許容する場合でも、工具が対応できないことがあります。エアベンディングでは内側半径はダイの開きから決まり、標準的なプレスブレーキの工具は限られたパンチ形状しか持ちません。手持ちのパンチより小さな指定は、専用工具か別の工程を意味します。
工場が、材料としては技術的に成立する半径を広げてほしいと頼むことがあるのは、このためです。制約は金属ではなく、その幅で、部品に傷を付けずに成形できるパンチが存在するかどうかにあります。発注前に部品のコストを知りたい場合、曲げ半径はコストモデルが使う入力の一つです。
よくあるご質問
板金の最小曲げ半径はどのくらいですか?
一般的な実務の既定値は、軟鋼では板厚の 1 倍です。ただし万能ではなく、軟質アルミニウムや銅はそれより小さくでき、6061-T6 やその他の硬質調質は板厚の 2 ~ 4 倍を必要とします。支配的な特性は材料の伸びです。
なぜ板厚が増すと半径も大きくする必要があるのですか?
半径と板厚の比が小さくなると、外側表面のひずみが大きくなるからです。1 mm の板に 1 mm の半径なら 1:1 の比です。同じ半径を 3 mm の板に適用すると 1:3 となり、割れます。ひずみを一定に保つには、半径を板厚に比例させる必要があります。
重要なのは内側半径と外側半径のどちらですか?
内側半径です。パンチとダイが決めるものであり、曲げ計算もこれを基準に組み立てられているからです。外側半径は、内側半径に板厚を加えたものにすぎません。曖昧さを避けるため、図面には内側半径を指定してください。
6061-T6 アルミニウムは曲げられますか?
可能ですが、きつくは曲げられません。伸びが限られた硬質調質で、内側半径 2 × t ~ 4 × t が実務的な範囲です。圧延方向を横切って曲げる場合はさらに大きくします。きつい半径が必須の場合は、成形部品には通常 5052 のほうが適した合金です。
曲げ半径はコストにどう影響しますか?
間接的に、曲げ時間と必要な工具を通じて影響します。専用パンチや追加工程を要する半径は、標準パンチで成形できる半径より高くつきます。また、部品が割れるほどきつい半径は、はるかに高くつきます。割れは不良として発覚するからです。
図面を送れば、確かな回答が返ります
技術者がモデルの製造性を確認し、数量を反映した見積もりを返します。価格を左右するDFM指摘も添えます。