技術ガイド

板金の表面処理選定:環境・マスキング・ロットの順で決める

表面処理はたいてい最後に、一覧表を見ながら、外観だけで指定されます。その順番こそが、多くの案件を表面処理の段階になって、マスキングの問題、小口ロットでは合わせられない色、ねじが入らなくなった部品に直面させてしまいます。

監修 Tom、シニアプロセスエンジニア·東莞の自社工場 · 精密板金 11 年以上
板金の表面処理選定:環境・マスキング・ロットの順で決める
短い回答

表面処理は、まず環境が部品に何をするかを問い、次にその処理が部品に何をするかを問う順で選びます。粉体塗装は膜を積んで素地を隠し、アルマイト処理は素地を改質して何も隠しません。めっきは鋼を保護し、ねじの嵌め合いを変えます。それぞれがそれぞれの痕跡を残します。

以下に7行の参照データがあります。上部の要約が短い答えで、表は引用に使うものです。

まず環境の問いから始めます

屋内で乾燥していれば、ほとんど何も除外されません。結露や洗浄がある屋内では、切断端で塗膜が浮かない塗装が必要になります。同じ粉体塗装でも、素地が亜鉛めっきであるほうが裸の鋼より持ちこたえるのはこのためです。屋外では紫外線安定性と、ぶつかっても耐える膜厚が必要です。テクスチャのある粉体塗装は、平滑なものよりはるかに取扱い傷を隠します。

沿岸部や薬品にさらされる環境では、問いは「どの表面処理か」から「そもそも表面処理で足りるか」に変わります。塗膜はエッジと締結部から壊れるので、環境がそこを攻めるなら、変えるべきは塗装ではなく素地です。

表面処理素地何が変わるか
粉体塗装鋼、アルミ、亜鉛めっき60–120 µm を上乗せする。絶縁性があるためアース面とシール面はマスキングする。ラックとの接触点に痕が残る
アルマイト処理アルミのみ改質層。寸法はおよそ半分が内側、半分が外側に増える。目に見える傷は埋められない
亜鉛めっき鋼薄い犠牲防食。傷が付いた箇所でも保護が続く。小さな締結部品ではねじの嵌め合いを変える
ニッケル / クロムめっき鋼、真鍮より硬く、より光沢があり、より高価。塩水噴霧では亜鉛とは異なる壊れ方をする
ヘアラインステンレス、アルミ方向性のある目はロット内で揃える必要がある。目を横切る曲げは早く割れる
サンド / ビーズブラストほとんどの金属均一なつや消し。塗装の密着下地として良好。溶接部の光沢を落とす
レーザーマーキング / 刻印ほとんどの金属表面処理の後に行う。永久に残る。コントラストは素地と塗膜によって変わる

表面処理・素地・工程で何が変わるか

マスキングは図面の一部です

表面処理の後も導通、シール、ねじ、寸法精度を保つ必要がある箇所は、すべてマスキングします。マスキングは表面処理の前に行う工程です。後から元に戻す方法は、いったん処理を剥がすことだけで、それはたいてい元の問題より悪い結果になります。

気にすべき面は、忘れやすい面です。アーススタッドとその座面、ガスケット溝、クイックリリース機構の接触点、ねじインサート、ダウエル穴、治具や取付基準の位置がそれにあたります。図面に短いマスキングの注記を一行入れておくだけで、組立不良をまるごと一種類なくせます。

  • マスキングする面は、名称を挙げて指定します。「適宜」では済ませません。
  • 公差が素地にかかるのか、表面処理後の部品にかかるのかを明記します。粉体塗装もアルマイト処理も寸法を変えます。
  • 外観面については、どう検査するかを書きます。斜光で見るほうが、何気なく見るよりはるかに多くの不具合を見つけられます。
  • 異なるロットで処理した部品間で色を合わせる必要がある箇所は、その旨を書き、名前ではなく色見本が必要になると考えておきます。

ラック痕、ロット、小口案件の問題

塗装では、部品はラックに吊るすか治具に載せるので、必ず何かに触れます。よく設計された部品には、接触痕が問題にならない場所があります。内面、隠れるフランジ、下面です。そうした場所がない場合は、現場の誰かが判断することになり、判断は再現できません。

ロットも重要です。表面処理はロット単位、色単位で価格が決まるため、小口の部品は数量が少なくても下がらない最小チャージを負担します。ある案件を 1 色・1 回の表面処理にまとめることは、設計にまったく手を入れずにできる、数少ないコスト削減です。

よくあるご質問

粉体塗装とアルマイト処理はどちらを選びますか?

粉体塗装は素地を隠し、RAL のどの色でも指定できます。そのため鋼や、傷が付かないままより外観を優先する部品に向きます。アルマイト処理はアルミにしか効かず、表面を覆うのではなく改質するので、剥がれることはありません。ただし使用中に付いた傷は、部品の寿命まで目立ったまま残ります。

電気筐体がアース導通検査に落ちるのはなぜですか?

ほぼ必ず、アース経路に塗膜が付いているためです。粉体は絶縁体なので、アース経路上のスタッド、座面、ボルト締結部は、部品を炉に入れる前にマスキングする必要があります。図面に記載しておくべきもので、後から元には戻せません。

表面処理で寸法はどれくらい変わりますか?

粉体塗装は実際には片面あたりおよそ 60–120 µm なので、切り抜きは全体でおよそ 0.12–0.24 mm 小さくなります。アルマイト処理は、およそ半分が材料の内側へ、半分が外側へ増えます。公差が本当に必要な部位は、表面処理の前後どちらで測るかを指定してください。当社のほうでそれを見込みます。

指定した色に合わせられますか?

はい、RAL か Pantone の参照、または現物見本があれば合わせられます。写真から合わせるのは信頼できません。画面も照明も色を変えてしまうからです。複数の部品を別ロットで処理しながら色を揃える必要がある場合は、その旨をお伝えください。標準的な進め方は、それらをまとめて処理することだからです。

小さな部品とねじの嵌め合いはどうしますか?

めっきはねじ山を太らせ、小さな締結部品ではナットが入らなくなることがあります。ねじに表面処理をかける箇所は、マスキングするのか、処理後の嵌め合いを前提にするのかを指定します。図面に二行の注記で済む話で、見落とすと組み直しになります。

図面を送れば、確かな回答が返ります

技術者がモデルの製造性を確認し、数量を反映した見積もりを返します。価格を左右するDFM指摘も添えます。