316Lが実際に変えるもの
オーステナイト系ステンレスの耐食はクロムが担う — 316で約16–18% — 空気中で自己修復する不動態酸化被膜を作る。炭素は通常、避けられない微量元素。約0.03%を超える状態で鋼を鋭敏化域に保持すると、粒界で炭素がクロムと結合する。
炭化物自体が問題ではない。問題は、炭化物が隣接する狭い領域からクロムを奪い、その領域が安定な不動態被膜に必要な約12%のクロムを下回ること。結果は粒界腐食:部品は健全に見えて結晶構造に沿って壊れ、しばしば使用期間の後で現れる。
316Lは炭素を0.03%以下に保つ — 粒界で意味のある炭化物を作る炭素が足りない水準。だから溶接しても熱影響部は鋭敏化されず、溶接後の焼鈍が不要になる — 炉に入れるには大きすぎる、または後仕上げが高すぎる部品で最も効く。
工学的参考としての代表値
公表されている代表値。実際のプロジェクトに使われる溶解ロットのミル証明書で確認すること。
| 性質 | 代表値 |
|---|---|
| 炭素含有率 | 0.030% 以下(定義する上限) |
| クロム/ニッケル/モリブデン | 16–18% Cr / 10–14% Ni / 2–3% Mo |
| 引張強さ(焼鈍) | 約485–580 MPa |
| 耐力(焼鈍) | 約170–310 MPa |
| 伸び | 約40–55% |
| 密度 | 8.00 g/cm³ |
| 磁性 | 焼鈍では非磁性;冷間加工で微弱に付く |
| 鋭敏化域 | 425–815 °C — 使用温度としては避ける |
Lがその座を稼ぐとき
標準316への上乗せは控えめだが、決して溶接されず熱も持たない部品には何も買わない。正当化するのは3つ:腐食環境の溶接組立、溶接が隣接金属を鋭敏化するほど熱を保持する厚肉、そして寸法・歪みリスク・既に施した仕上げの理由で後焼鈍できない部品。
逆のケースも同じく明確。316板の曲げブラケットで、締結金具で組み立てられ大気暴露だけなら、316Lは何も加えない — 普通316でさえ304でさえ製品より長持ちする。Lをデフォルトにするのは使用寿命を変えずに材料費だけ膨らませる。
加工メモ
成形と溶接は316と同じく振る舞う:炭素鋼より加工硬化が強く、曲げは大きめの内Rとスプリングバック見込み。レーザー切断とTIG溶接が定番の道で、溶接ビードは仕上げが要求する場所でのみ整える。
部品が溶接され、塩化物や過酷な洗浄に出会うなら、3xx系すべてに溶接後の不動態化を通常推奨する — 遊離鉄を除き、溶接と熱影響部の不動態被膜を回復する。溶接後の不動態化は低炭素を補完する;置き換えではない。
