板金試作のコストは何で決まるか
試作品と量産品は、幾何学的には同一でも、価格が 100 倍離れていることがあります。その差はペナルティではなく、製造の固定費がごく少数の個数に配分された結果です。これを理解すると、試作の予算が実際にどこへ向かうのかが見えてきます。

試作品は、固定費がごく少数の個数に配分されるため、量産品より 1 個あたりの価格が高くなります。プログラム、段取り、初品の確認、短い仕上げバッチ、検査は、いずれも試作ごとに発生します。同じ費用も、数量が数千個に広がれば消えていきます。
なぜ最初の 1 個が高くつくのか
製造には、作る個数に関係なく発生する固定費があります。プログラム、工具の選定、機械の段取り、初品の検証、そして——完成品であれば——数量にかかわらず最低課金がある仕上げのバッチです。
これを 1 で割ると、試作品の価格になります。5,000 で割ると、1 個あたりではほとんど見えなくなるほど小さくなります。試作品は高く請求されているのではなく、そのロットの間接費を丸ごと一人で背負っているのです。
実際に何に支払っているのか
| 要素 | 試作で発生するか | 量産への引き継ぎ方 |
|---|---|---|
| プログラムとネスト | はい——ごく短いロットでも段取りを一式行う | ロット全体に配賦される |
| 機械の段取り | はい、工程ごとに 1 回 | 配賦される |
| 材料の最小ロット | 小さな部品でも板 1 枚分になることが多い | 多数の部品で共有される |
| 仕上げのバッチ最小 | はい——小さなバッチでも大きなバッチと同じ費用になることがある | 配賦され、最小課金の影響は通常なくなる |
| 初品と寸法検査 | はい、しかも割合として重い | 抜き取り検査とゲージに置き換わる |
| 梱包 | 通常は汎用品で、数量はわずか | 設計され、1 個単位で価格が決まる |
| エンジニアリング時間 | 設計レビューと DFM フィードバック | 一度きりで、その成果は残る |
試作コストの構成
金型を使わない試作
板金では、試作のルートはレーザー切断と曲げです。金型も治具も使わず、形状はすべてプログラムで表現します。つまり、試作のリビジョン B と C の間の設計変更は、金型の修正ではなくプログラムの修正で済みます。これはまさに開発プログラムが必要としているものです。
このルートの標準的な納期は 3〜7 営業日で、量産と同じ材料、量産と同じ仕上げで部品を作ります。テストするものが、そのまま手に入ります。純粋な形状ではなく、剛性、嵌め合い、シール性、仕上げ外観を確かめたいときには、積層造形の試作品に対する明確な利点になります。
試作の予算をうまく使うには
- 試作は量産と同じ材料で行う。鋼の部品の挙動を樹脂モデルで確かめても、その試作は無駄になる。
- 仕上げは、顧客が判断する一つの観点だけは現実に合わせ、社内で回す試作では外観の仕上げを後回しにする。
- 可能ならリビジョンをまとめる。3 つのバリエーションを 1 回のロットで作れば、段取りと材料を共有できる。
- 金型を起こした後ではなく、rev A の段階で DFM フィードバックを求める。最も安く済む変更は、金型が存在する前に済ませた変更です。
- 設計が固まるまで金型を起こさない。金型のリビジョンは、プログラムのリビジョンよりはるかに高くつきます。
量産ではコストがどうなるか
同じ部品も量産になると、上の固定費のほとんどを失い、材料の共有と仕上げバッチの統合という利点を得ます。そして——数量が正当化するなら——レーザーと曲げから、独自の損益分岐点をもつプレス金型へと移ります。当社は一つのルートを主張するのではなく、お客様の部品について三つの数字を並べてお見せします。
よくあるご質問
試作に最小注文数はありますか?
最小数量はありません。1 個でも正式なご注文で、その場合は段取り費の全額を負担することになります。段取りが必要だからです。形状の確認だけが目的の部品であれば、どの形状に費用がかかり、どれを後回しにできるかをはっきりとお伝えします。
板金の試作にはどのくらいかかりますか?
レーザーと曲げのルートで、通常は 3〜7 営業日です。材料の在庫状況、仕上げの要件、検査報告書が含まれるかどうかで変わります。多くの場合、最も長い工程は仕上げです。小さなバッチでも、まとめて 1 回分のバッチ枠が必要だからです。
試作価格で仕上げがこれほど大きな割合を占めるのはなぜですか?
仕上げは 1 個単位ではなく、バッチ単位で価格が決まるからです。専用の粉体塗装やアルマイトのバッチには、1 個でも減らない最小課金があります。そのため試作では、仕上げだけで材料費と切断費を合わせた額に匹敵することがあります。
最終材料で試作すべきですか?
機能をもつ部品であれば、はい。剛性、スプリングバック、溶接性、仕上げ外観は、いずれも材料に依存します。304 ステンレスの部品を軟鋼で試作すると、寸法検査は通っても、耐食性や外観のレビューでは通らなくなります。
試作で使った金型は量産に流用できますか?
通常、流用できる金型はありません。レーザーとプレスブレーキは形状をプログラムで持つので、量産ではそのプログラムを再利用します。のちに数量がプレス金型を正当化する場合は、その金型は別途の投資となり、損益分岐点で判断します。
図面を送れば、確かな回答が返ります
技術者がモデルの製造性を確認し、数量を反映した見積もりを返します。価格を左右するDFM指摘も添えます。