コスト・工程モデル

試作と量産のコスト:固定費の曲線と損益分岐

買い手が最もよくしてしまう見積もりの誤りは、試作価格から外挿することです。1 個目の部品と 5 万個目の部品は、形状は共有していても、コスト構造についてはほとんど何も共有していません。このモデルはその二つを分けて、どちらに支払っているのかが見えるようにします。

監修 Tom、シニアプロセスエンジニア·東莞の自社工場 · 精密板金 11 年以上
試作と量産のコスト:固定費の曲線と損益分岐
短い回答

数量が増えると 1 個あたりのコストが下がるのは、固定費の要素をより大きな数で割るからであり、材料が安くなるからではありません。曲線は最初に急落し、1 個あたりのコストが支配的になると平坦になり、金型を買う価値が出ればさらに一段下がります。三つの形、一つの計算です。

モデル

総コスト = 一時費用 + (1 個あたりのコスト × 数量)。単価 = 総コスト ÷ 数量。全部でこれだけです。面白いのはすべて、何が一時費用の項に入り、何が 1 個あたりの項に入るかという問いにあります。

要素一時費用1 個あたり数量が増えたときの挙動
材料—質量とネストの利用率に比例1 個あたりは一定。ネストの改善でわずかに改善
切断時間—切断長と板厚に比例1 個あたりは一定
プログラミング/ネストはい—数量で割る
機械の段取りはい—数量で割る
成形時間—曲げ回数に比例1 個あたりは一定
治具はい(必要な場合)—数量で割る
初品検査はい—数量で割る
表面処理のバッチ段取りはい—数量で割る
表面処理の面積コスト—塗装面積に比例1 個あたりは一定
プレス金型はい(選択した場合)—数量で割るが、より高い 1 個あたりのコストを置き換える
各要素がどちらの項に入るか

形その 1:固定費の曲線

1 個あたりのコストが一定のとき、単価は矩形双曲線のように下がります。固定費の項がまだ支配的なうちは急に下がり、その後は 1 個あたりのコストという漸近線に向かって平坦になります。実務上の帰結は、最初の数量帯に最も大きな相対的節約があるということです。1 から 10 に増やすほうが、1,000 から 1,010 に増やすより、単価はずっと大きく変わります。

サプライヤーが 1、10、100、1,000 で見積もると、直線ではなく曲線になり、1 個と 10 個の見積もりの差がたいてい紙面で最も大きくなるのはこのためです。

数値は、算術ではなく形が見えるように、意図的に丸くしています。重要なのは 1 個と 10,000 個の単価の比で、ここでは約 51× です。これは固定の 1,000 をより大きな数量で割ったことだけから生じています。

数量総額単価指数(1,000 個 = 1.00)
11,0201,020.0026.2×
101,200120.003.08×
1003,00030.000.77×
1,00021,00021.000.54×
10,000201,00020.100.52×
形を示す例 — 一時費用 = 1000 通貨単位、1 個あたりのコスト = 20

形その 2:金型が関数を変えるところ

プレス金型は固定費を足すだけでなく、1 個あたりのコストをより低いものに置き換えます。そのため総コストの関数は区分ごとに変わります。損益分岐を下回ればレーザーの経路が安く、上回れば金型の経路が安く、交差点は二つの線が交わるところです。

損益分岐数量 = 金型費 ÷ (レーザーの 1 個あたりコスト − プレスの 1 個あたりコスト)。どちらの 1 個あたりコストも、同じ部品の見積もりから分かります。だからサプライヤーへの有効な依頼は「この部品を両方の方法で見積もり、二つの線がどこで交わるかを教えてほしい」であり、「最も安い方法で見積もってほしい」ではありません。

数量レーザー総額プレス総額安い経路
1002,00012,800レーザー
50010,00016,000レーザー
1,00020,00020,000損益分岐
2,00040,00028,000プレス
5,000100,00052,000プレス
損益分岐の例 — 金型 12,000、1 個あたりのコストはレーザー 20 対プレス 8

形その 3:曲線が数量の話でなくなるところ

ある数量を超えると固定費の項は無視できるほどになり、単価は材料と機械時間で決まります。その時点で、さらなる節約は発注量ではなく設計から来なければなりません。切断長を減らす、曲げを減らす、許される箇所で板厚を薄くする、ネストを改善する、色合わせではなく標準色にする、といったことです。

これは会話を変えるべき実務上の合図です。5,000 の見積もりと 20,000 の見積もりの違いが主に材料の行にあるなら、ロットサイズはもうレバーではありません。図面のほうがレバーです。

あなた自身の部品でどう使うか

  • 一つだけでなく、三つか四つの数量で見積もりを依頼し、曲線がどこで平坦になるかを見ます。
  • 一時費用の要素を分けて示してもらい、その低下が償却によるものか、仕様の変更によるものかが分かるようにします。
  • 需要が予測できるなら、大きな発注 1 回が小さな発注 2 回に勝るかどうかを試します。発注ごとにそれぞれ段取りがかかるからです。
  • 曲線が平坦になったら、数量で比較するのをやめ、公差、曲げ回数、表面処理を見直し始めます。

よくあるご質問

1 個だけの場合、1 個あたりの価格がなぜこんなに高いのですか?

プログラミング、機械の段取り、初品の確認、表面処理のバッチ準備は数量に比例しないからです。1 個のときは、これらの固定費をその 1 個が丸ごと負担します。部品そのものが高くなっているのではなく、固定費の要素を割る相手がそもそもないだけです。

数量が増えると下がる価格は値引きなのですか?

レートの譲歩という意味の値引きではありません。それは算術です。当社が一時費用の要素を分けて示すのは、その低下が償却から来るのか、二つの見積もりの間の仕様の変更から来るのかが、買い手に分かるようにするためです。

どの数量で金型は元が取れるのですか?

金型費が、1 個あたりの削減額に数量を掛けたものと等しくなるところです。その交差点は、同じ部品に対する二つの見積もりから計算され、答えは数量の前提によって動きます。だから、確信をもって言える数量のほうが、正確な交差点そのものより重要なのです。

一つの数量ではなく、幅をもって見積もってもらえますか?

はい、そして判断のためにはそのほうが役に立つ形です。複数の数量の見積もりは、曲線がどこで平坦になるかを示し、ロット化と再設計のどちらがより良いレバーかが分かります。一つの数量は、誰も訊いていない問いに答えるだけです。

図面を送れば、確かな回答が返ります

技術者がモデルの製造性を確認し、数量を反映した見積もりを返します。価格を左右するDFM指摘も添えます。